大麻(マリファナ)とは、麻(アサ)の花びらや葉を、乾燥させたり、樹脂化させたり、液体化させたものです。
嗜好品としての歴史は古く、中国では2700年前からシャーマン(祈祷師)が、薬理作用を目的として使用していたとされています。
日本では、麻の栽培がされていた様子が「日本書紀」にも記載されています。

大麻の部位

花冠(複数枚の花びらからなる、花の器官)

一般的なお花のような、花弁ではありません。花穂(穂のような形で咲く花のこと)が、グニャグニャとついています。この部分から製造したものを「ガンジャ」と呼ばれています。
また、花冠からとりだした樹液を、樹脂化したものを、「ハシシ」や「チャラス」と呼ばれています。

葉っぱ(リーフ)

見た目の特徴は、ギザギザの葉が、手のひらを広げたような形に伸びています。
この部分から製造したものを「草」や「葉っぱ」などと呼ばれています。

大麻の種類

嗜好品としての大麻は、大きく分けて3種類あります。

乾燥大麻

花穂や葉を、乾燥させた大麻加工品で「マリファナ」とか「ガンジャ」と呼ばれています。
花穂を「バッズ」、無受精の雌花の花穂を「シンセミア」といいます。
大麻の種類で最もポピュラーな加工方法であり、世界で押収された大麻のうち、79%が乾燥大麻です。
インドでは、効果が弱くて安い、葉と茎が原料のものが「バング」と呼ばれ、花穂から製造されるものが「ガンジャ」と呼ばれています。

大麻樹脂

花穂や葉から取れる樹液を、圧縮して固形状の樹脂にした大麻の加工品です。
「ハシシ」「チャラス」「チョコ」などの名称で呼ばれています。
世界における消費地は、主に西ヨーロッパであり、世界における大麻樹脂の、74%はここで押収されています。

液体大麻

乾燥大麻や、樹脂を溶剤(アルコールや油など)で溶かし、抽出した大麻加工品を液体大麻といいます。
「ハシシオイル」「ハッシュオイル」「ハニーオイル」とも呼ばれています。

大麻の摂取方法

パイプ(キセル式の喫煙具)

パイプは、木・金属・ガラス・陶器などの素材で作られていて、様々な形状のものがあります。
装飾的な意匠の品もあり、これらを好みに応じて使い分けたり、コレクションとして収集する愛好者もいます。
もっともシンプルでポピュラーな摂取方法で、古くから使用されています。

ジョイント(巻紙)

乾燥大麻、または大麻樹脂を、煙草の巻紙に巻いたものに点火して吸う方法です。
巻紙に巻くのが面倒くさいこと、有効成分が漏れやすいこと、そして煙が直接体内に入るため、一酸化炭素・タール・シアン化物などの有害な成分による、健康被害を受けやすいという欠点があります。

ボング(水パイプ)

ボングを使うと、煙をいったん水に通すことで、喉あたりがよくなるといわれています。
手のひらに乗るくらいのコンパクトなものから、一輪差しの花瓶や、理科の実験で使うフラスコに似た形状のもの、さらに大きなものでは、ボングの高さが80cmにおよぶものまであります。

ヴェポライザー(気化器)

この喫煙具は、大麻を燃やさずに、有効成分のみを気化させた蒸気を、直接または袋に溜めて吸引する器具です。
燃やすことによる、有害成分を全く発生させないので、医療目的に使用されています。また、煙草を吸えない愛好家にも好んで使われています。

調理

お菓子の材料に加えたり、バターや食用油やアルコールに溶かし、調理して食べることで大麻を摂取することができます。
大麻で作られたお菓子は「スペースケーキ」と呼ばれていて、喫煙と同様の酩酊作用を持ちます。

大麻が合法の国

アメリカ合衆国

全面合法州」・・・メーン州、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、ネヴァダ州、アラスカ州、ワシントン州、オレゴン州、コロラド州、イリノイ州

医療大麻合法州」・・・アリゾナ州、ニューメキシコ州、ミネソタ州、ミシガン州、ルイジアナ州、ペンシルバニア州、メリーランド州、デラウェア州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、コネティカット州、ロードアイランド州、バーモント州、ニューハンプシャー州、ハワイ州の16州

カナダ

2018年10月から医療、嗜好品共に全国的に合法化されました。全国的に合法化されたのは、ウルグアイに次いで、世界で二番目です。ただし、使用・購入・販売などは、州によって若干の違いがあります。

ウルグアイ

2013年に、世界で初めて、全国的に医療、嗜好品共に合法化された国として有名です。合法化の最大の目的は、栽培・流通を国の管理下におくことで、闇市場での価格を下落させ、密売組織を弱体化させることでした。

ジャマイカ

合法ではありませんが、2オンス(約56g)の大麻を所持することは、犯罪歴がつくことのない、軽犯罪として扱われます。

アルゼンチン

医療用大麻のみ合法です。

オランダ

非合法ですが、実際には「非刑罰」の対象として扱われています。

イギリス

医療用大麻に限り、一部合法です。

スペイン

公共の場所以外では、大麻の嗜好品としての使用・所持・栽培が認められています。

ポルトガル

個人使用や、少量の所持は、逮捕や投獄をしない「非刑罰化」とされています。

ドイツ

限定的にですが、医療用大麻が合法化されています。

チェコ

大麻は全面的に合法です。

オーストラリア

医療大麻のみ合法です。一部地域では、嗜好品も解禁されています。

イスラエル

限定的にですが、医療用大麻が合法化されています。

タイ

医療大麻のみ合法です。

韓国

医療大麻のみ合法です。

ここに書いてない国でも、一部合法の国はありますよ。

日本での大麻

大麻禁止の経緯

大麻は、古くから神事に用いられ、日本の神道とは切り離せない関係にありました。こうして、古来から大麻は、神の宿る神聖な植物として、しめ縄に用いられたりしてきました。

日本では、麻の使用は繊維や神事などがほとんどで、嗜好品として楽しむ文化はありませんでしたが、第二次世界大戦終戦後にGHQによって、禁止とされました。
これは当時のアメリカが、ドラッグ撲滅を目指してた影響をうけたものでした。
そして1980年代には、アメリカのレーガン大統領が「ジャスト・セイ・ノー」というアンチドラッグキャンペーンを開始し、このキャンペーンが日本にも輸入され「ダメ、絶対」というフレーズとともに広がっていきました。

しかしアメリカでは、大麻にたいする「科学的・医学的エビデンス」が積み上げられ、大麻禁止の考え方は変更されていっています。

日本での刑罰

個人使用目的での栽培・輸出入は・・・7年以下の懲役

個人使用目的での所持・譲渡・譲受は・・・5年いかの懲役

このように、日本の法律では「所持」は処罰されますが「使用」は処罰されません。
これは「成熟した茎や種子の部分は、有害性がほとんどない」ということで、七味唐辛子などに種子が使われいます。
ところが、まったく違法成分が含まれていないかというと「絶対ない」とはいえないそうです。
そして、尿検査にて違法成分を検出した場合、その成分が花冠由来か、葉っぱ由来か、種子由来かは判別できないらしいのです。
こうした事情によって「使用」は罰せず「所持」を罰するというかたちになっています。

今回の「大麻」については、ここでおしまいにします。効果などは、人によって違ってきますので、気になる方は、ググってみてください。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

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