中国の習近平が新型コロナウイルスへの抑え込み成功を宣言したけど・・・

習近平が武漢市を訪問

中国の習近平国家主席は2020年3月10日に、湖北省の武漢市を訪れ「新型コロナウイルスの抑え込みに成功した」というメッセージを発表しました。
そして、火神山医院(武漢市に10日間で建設された一時施設)を訪問し、医療スタッフや感染患者とビデオ映像を介して話をしました。
この訪問から間もなく、全国にあった14か所の一時医療施設を全て閉鎖したと、中国の国営メディアが伝えています。

中国国営メディアによると、
中国・習近平国家主席は「絶対にウイルスとの戦いに勝てるだろう。武漢は必ず勝つ、湖北は必ず勝つ、全中国も必ず勝つ」、「病気のまん延と拡散の勢いは、すでに基本的に抑え込んだ」と述べ、「党と国をあげて団結奮闘した結果だ」と強調したという。

BBC(イギリス国営放送)の中国特派員は、
習近平の武漢市訪問は、近いうちに少なくとも湖北省内で、交通網や商店が再開するであろうことを示していると説明。中国のその他の地域では、より早くさまざまな事が動き出すだろうと述べました。

ロイター通信(イギリスの通信社)は、
「習近平は成果を手にするために訪問した。習近平が現地を訪れたことは、中国共産党が近く、新型ウイルスとの戦いに勝利宣言をするだろうことを意味する」 と語った、中国人民大学の張鳴(ジャン・ミン)教授 のコメントを掲載しました。

しかし、習近平が武漢市を訪れ、医療従事者を「希望の使者であり、真の英雄」と讃えた裏で、同日、ネット上に掲載された、最前線の医師におこなったインタビュー記事と、それを転載した記事などが、わずか3時間でネット上から削除されています。
そのインタビュー記事の内容は、武漢市中心医院の救急科主任、艾芬医師(最初の告発者として有名になり亡くなった李医師と同じチャットグループのメンバー)のインタビューをもとにした内容 で、中国政府の新型コロナウイルスに対する初期対応の誤りと、武漢市の衛生委員会から受けた圧力を告発したものでした。

中国国内の新型コロナウイルスが収束へ向かう

ヨーロッパにいる中国人のあいだでは、湖北省武漢市での都市の封鎖、移動の自由を奪い、軟禁に近い状態で自宅などに閉じ込める、といった手段に出た中国政府に対して、恐れを抱いていましたが、その結果、現在では武漢市以外は徐々にではありますが正常な状態にもどりつつあります。

しかしイタリアでは、マスクをして国会に臨んだ議員が嘲笑され、感染者拡大の一途をたどっているにもかかわらず、人々は「マスクより自由を」と唱えたりしていました。都市の封鎖措置には抗議活動が繰り広げられ、飲食店ではウイルス拡散などおかまいなく、多くの市民が濃厚接触状態で食事とおしゃべりに夢中になっていました。そして現在は、新型コロナウイルス感染者数が中国に次いで多くなっている、といった始末です。

そんなイタリアの惨状をみて、ヨーロッパにいる中国人は「ウイルス蔓延を最小に食い止めた、中国政府を評価すべきではないか」と考え、「中国こそが最も安全な場所」と信じるようになっているらしいです。

上のグラフが中国政府発表のものですが、たびたび統計方式変更をおこなっています。

2月13日・・・湖北省の感染者数を、簡易な臨床診断(画像検査)も含めると発表。
2月18日・・・検査で陰性の肺炎患者を除外すると感染者定義の変更。
2月20日・・・診断基準を再度変更し、湖北省の特別扱いを廃止。精度の高い臨床試験で、感染したと診断された人のみを、感染者とすると発表。

ようするに、これだけ感染者数が減少できたのは、統計のチャイナマジックですね。中国国内では楽観ムードになってきているみたいですが、あいかわらず信用できませんね。

なぜそんな成功宣言をしたのか?

2020年3月14日CNNは、
中国外務省の趙立堅報道官が、 新型コロナウイルスの問題に触れ、発生源は思い込まれているような湖北省武漢市ではなく、アメリカ軍が持ち込んだ可能性がある!とする見解を示した、と報じました。

もう擦り付けようとしています。特に直近での中国の発言では、「封じ込め成功」や「勝利した」とか「正しい対策をおこなった」とかばっかりです。
しかもたちが悪いのは、WHOのテドロスがそういった中国をひたすら擁護していることです。

WHO(世界保健機関)テドロス事務局長の発言

  • 1月30日、中国政府は感染拡大阻止に並外れた措置をとった。他の国も見習うべきだ。
  • 2月13日、中国はまさに感染拡大への対応で新たな基準を打ち出した。たぐいまれな努力を称賛する。
  • 2月21日、中国の感染者数の大幅な減少傾向に勇気づけられている。
  • 3月2日、日本・韓国・イタリア・イランの4か国が最大の懸念だ。

ちなみにテドロスは、エチオピアの元保健相で、エチオピアは中国から巨額の投資を受けています。そしてWHOは、事務局長を含む重要ポストには長年、中国の息のかかった人材を抜擢しています。

日本人の感覚ですと、そこまでやるか!?とも思いますが、やるんです。じゃあなぜそこまでやるのか?
もう皆さんもおわかりでしょうけど、経済です(実はもうひとつ、中国はアメリカに代わり、自分たちこそ世界のリーダーたる国家だ!と思い込もうと必死だからです)。

武漢市は工業都市として有名(日本の自動車メーカーもあります)ですが、交通網の要所でもあります。多くのサプライチェーンを有しているので、ここが止まると製造業がストップしてしまいます(これにより外需が見込めなくなる)。製造業がストップすると、運送業を含む人々の動きが超鈍化します。そして消費活動も抑えられていきます(これにより内需が見込めなくなる)。

これでは、中国共産党は成り立たなくなってしまいます。中国共産党としては、なんとしてでも、経済活動を再開させ、世界の覇権国家であるという威信を取り戻すために躍起なのです。
そのためなら、情報操作(パブリック・ディプロマシーも含めて)も言論統制も平気でやるでしょう。
なによりそれが、中国共産党の一番の得意技ですから。

もう少し真実はどうなのかは、見守る必要があるでしょう。

それではここまで読んでいただき、ありがとうございました。

世界の新型コロナウイルスに対する対応の記事はこちらです。

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