「セリアック病」について

「セリアック病」とは、麦(小麦、大麦、ライ麦など)に含まれる「グルテン」にたいして、異常な免疫反応が生じ、自分自身の小腸粘膜を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。
日本ではデータがないので不明ですが、欧州では100人から150人に1人の割合(1%から0.67%)で、セリアック病の患者がいるという調査結果がでており、これは近年、増加傾向にあります。

日本ではデータがないので不明としましたが、国内のセリアック病の患者さんは、自分自身が「病気」だと気づいていないだけで、実は多く存在するとも言われています。
その理由の一つが「過敏性腸症候群」で、これはセリアック病の症状の一つにも挙げられるものですが、グルテンを摂取することにより、慢性的な下痢や便秘を伴う腸の疾患が起こっている人が多いのではないかと考えられています。

セリアック病は、年齢に関係なく影響を与え、生涯続く遺伝性の自己免疫疾患であり、グルテンを摂取せずに、症状が発現していない時でも、小腸に損傷が生じている場合などがあり、まだ解明されていない遺伝子や環境要因も影響しているといわれています。

グルテンフリーについて

最近は、世界有数のテニスプレイヤーである、ノバク・ジョコビッチ選手が実践していることからも注目され、メディアなどでもよく耳にする「グルテンフリー」とは、いったいどういうものなのか?

グルテンとは?

「グルテン」とは、簡単に言いますと、小麦、大麦、ライ麦などの「穀物」に含まれるタンパク質のことで、パンや麺類などを食した際の「モチモチ食感」を生み出しています。

グルテンは、過度な摂取をしていると、中毒症状を引き起こすことがあり、血糖値の上昇や、腸内トラブルの原因にもなる成分だといわれています。

グルテンフリーとは?

これは、グルテンを摂取しない食事、つまり小麦粉を使っていない食品や、そういった食品を食べる食生活のことを指し、「セリアック病」や「グルテン不耐症」や「小麦アレルギー」の人たちの為の食事法です。

メディアなどで「グルテンフリー・ダイエット」などといわれることが多いため、やせることを目的とした減量法と誤解している人も多いようですが、そうではありません。
また、欧米のモデルやセレブなどが、不調改善や体形維持などのために取り入れていることなどから「健康法の一つ」と思っている人も多いようですが、健康な人が実践して、何らかの効果があるという「科学的根拠」は、今のところはありません。

しかし、一般的に言われているメリットとしては、胃や腸の調子が整えられることによる便秘・下痢の解消や、肌の乾燥を防ぐ美肌効果、そして血糖値を急激に上昇させる成分を摂らないことによる生活習慣病を予防などです。(注意、あくまでも個人の感想です!)

つづいてデメリットでは、小麦を使った食品にはビタミンB群やミネラル、食物繊維なども含まれている場合が多いため、グルテンフリーにこだわり過ぎることで、必要な栄養が不足し体調不良を起こしたりする場合があるそうです。(注意、あくまでも個人の感想です!)

小麦じゃなくて農薬が原因か?

「緑の革命」で生まれた、現在の小麦

約1万5千年前、人類ではじめて栽培されたのは「ヒトツブコムギ」という品種の小麦で、この品種は、染色体がわずか14本しかないとてもシンプルな遺伝子情報を持った品種であり、1900年代の初頭までは、自然環境によるわずかな進化に留まっていました。
しかし、アメリカが国策としてはじめた「緑の革命」によって、小麦を取り巻く環境が大きく変化します。

1940年代からアメリカでは、ロックフェラー財団による支援もと「農業の生産性を上げて、飢餓を減らす」という目的のため、穀物類を品種改良し、災害や干ばつに強い「新たな種」を作りはじめました。
これにより、主要穀物である小麦・トウモロコシ・稲などの品種改良にたいしては、特に力を注いだ開発が進められ「国際トウモロコシ・コムギ改良センター(IMWIC)」では、小麦の異種交配や遺伝子移入などの実験が重ねられていきました。
そして、1961年から1985年までに、何千種もの小麦の新種を誕生させて、そのなかで生産性の高い品種を、アメリカをはじめとした世界中で植え付け、開発途上国における穀物生産量は少なくとも2倍以上になりました。

緑の革命は、高収量品種の導入や化学肥料の大量投入などによって、穀物の生産性が向上させ、穀物の大量増産を達成したのですが、これにより「小麦自体の遺伝子構造の大きな組み替え」がおこり、グルテンは交配によって大幅に構造が変化したといわれています。

現在、世界で生産されている小麦の99%は「緑の革命」以降に作られた品種だといわれていて、一部では「ミュータント小麦(人為的に変異させた小麦)」と呼ばれています。
そして、化学肥料や農薬による健康被害や土壌汚染や、単一の農作物を生産する農業の形態である「モノカルチャー」による弊害などが起こりました。
※モノカルチャーは、栽培・収穫・出荷など、技術的にも単一で済み、栽培に必要な物資も一括購入できるという利点がありますが、買い付け側が有利なシステムであり、森林伐採などの環境破壊をもたらし、国際市場での価格変動に、生活が大きく左右されるといった面もあります。

少し批判的な書き方をしましたが、すべての人々が納得し、賞賛する政策などあるわけがないですし「緑の革命」によってもたらされた、生産性向上は、世界中の飢餓問題にたいして多大な貢献をしたことは、間違いないと言えるでしょう。

残留農薬問題(ポストハーベスト問題)

ポストハーベスト農薬とは、収穫後の農産物に使用する殺菌剤、防かび剤のことをいいます。

これは、輸入品の輸送中に、農作物が虫や環境の変化で腐敗するのを防ぐために、収穫後にふりかけられています。
そして、日本から外国へ農産物を出荷する場合、ポストハーベスト農薬をかける事は、全面的に禁止されていますが、日本が外国から輸入している農産物には、ポストハーベスト農薬をかける事は禁止されていません。

現在、日本の小麦にたいする自給率は、約14%とされていますが、この多くは「うどん」に使用されていますので、パンに限っていえば約3%だとされています。

小麦は、緑の革命によって農薬を大量にふりまいて育てるのが、当然とされてきた作物であり、アメリカの農家のあいだでは「収穫の数日前に、除草剤をたっぷりつけると収穫量が上がる」と言われているそうです。

そして、小麦を食べると調子が悪くなる人でも「国産小麦だと大丈夫」という声があがることも少なくないことから、グルテンが原因で調子を崩していた人たちの一部は、残留農薬が原因ではないか?というように言われはじめたのです。

しかしながら、小麦の輸入は通常、粉の状態でおこなうわけではありませんし、製粉するまでに異物除去などの工程が何度も繰り返されていることから、単純に「農薬イコール悪」というのも、少し乱暴な考え方のように思えます。
ポストハーベスト農薬は、発癌性がたびたび問題視されていますが、それよりも防黴剤として、より強力な発ガン性を持つカビ毒の「マイコトキシン」を防除することに、大きく貢献しているとも言われています。

さいごに

セリアック病の診断には、血液検査を用いて、セリアック病特有の抗体がないかどうかを検査するのですが、日本では、セリアック病の診断は現状では広く実施されていないそうです。
「抗筋内膜抗体(EMA)」は、日本では測定できず、大学病院などであっても海外の医療機関に依頼しているケースがほとんどのようですので、症状が疑われる場合は、グルテンフリーを試してみるのが良いのかもしれませんね。

残留農薬問題に関しては、どちらか一方だけの意見を聞きますと、偏り過ぎている場合が多いですので、しっかり両方の意見・主張を聞いて、ご自分で総合的な判断を下すのがいいのではないでしょうか。
それに「プラシーボ効果」などもありますので、気になる人は、できるだけ食さないようにすれば良いと思いますよ。

色々な食品に恵まれている日本人には「好きなものを選んで食べる自由」や「嫌いなものを食べない自由」が、一部の人たちを除き、ほとんどの人にはあるわけですから、あまり一つの意見に固執して、他人が好きで食べてるものにとやかく言うのは、それが善意だとしてもあまりおすすめは出来ませんね。

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