ホワイト国除外による誤解

2019年の7月1日に、日本の経済産業省が、韓国向け輸出管理の運用見直しを発表し、韓国をホワイト国のリストから削除する政令改正の手続きを開始しました。
そして7月4日からは「フッ化ポリイミド」、「レジスト」、「フッ化水素」の、韓国向け輸出を「包括輸出許可制度」の対象から外して、個別に輸出許可申請が必要で、審査もおこなう方式への切り替えが発効され、8月2日には、韓国をホワイト国から除外する旨を定めた「輸出貿易管理令の一部を改正する政令」を閣議決定しました。

「包括輸出許可制度」とは、許可申請は原則個別申請で、契約案件ごとに対応しますが、業務効率化を図るために、包括許可制度は一括して許可を受けることができる制度です。

しかし、日本のメディアや、韓国のメディアでは「日本が韓国に貿易戦争を仕掛けた」とか「徴用工判決問題へのいやがらせだ」などの意味不明で、感情的な報道や、「ホワイト国除外で、個別許可の品目は3品目から1000品目以上に増える」など、ミスリードするような報道が見受けられました。

そして輸出規制にたいして、韓国での半導体や有機ELなどの製造に、多大な影響が出るような報道もありましたが、韓国企業から申請をうけた分の輸出は、普通におこなわれています。

ホワイト国除外についての一般的な理由

韓国に対して、日本がおこなった3品目の輸出規制強化は、日本政府の考えというよりも、兵器転用可能な物品の輸出管理を掲げるオーストラリアグループや、欧米西側諸国からの対外圧力が、大きかったためではないかとも考えられています。

今回の対象となった「フッ化ポリイミド」と「レジスト」は、従来通り韓国に輸出されていますが、「フッ化水素」に関しては、少しだけ厳しくなりました。
とは、言いましたが、最終用途・需要者の確認、他目的利用・再輸出の防止の確実な担保、誓約書の取得等の審査手続きなどが必要になるのは、最初だけですので、2回目以降はすぐに許可がおりるそうです。

それでは、何が問題だったのか?

それは、韓国に輸出していた「フッ化水素」が、行方不明となっていることです。

韓国側は、この行方不明となっている「フッ化水素」について「不良品のため、日本に返品輸出した」と主張しているのですが、日本に返品された事実はなく、足取りがつかめていません。
これに対して日本は、韓国側に調査するよう依頼しましたが、日本が納得できるような回答は得られませんでした。

ホワイト国除外について、裏で囁かれている理由

ここからは、話半分で読んで下さい。

韓国をホワイト国から除外する1年と少し前に、安倍首相夫妻は、イスラエル訪問時にネタニヤフ首相が主催する夕食晩餐会のデザートで、畳を模したマットの上に、靴の形をした容器のチョコレート菓子を提供され、困惑させられました。

この時のシェフは、芸術面をアピールすることでも有名な方だったそうですが、外交上は、非礼や侮蔑ととられても仕方ない行為ともいえます。
そして、ここから囁かれだしたのが、ネタニヤフ首相のメッセージではないかという説です。

イランが核開発を再開しはじめたときに、手に入るはずのない「高純度のフッ化水素」が使用されていて,その出所元が、日本だったのではないかと言われ始めました。

イスラエルには、世界の中でもトップクラスの情報収集力と、断トツの行動力を誇る諜報機関「モサド」があります。
このモサドの調査によって、イランで使用されている「高純度のフッ化水素」が日本製であることが、突き止められたのではないかということです。

つまり「靴のデザート」は、日本がイランに密輸していると誤解した、ネタニヤフ首相による警告ではないかということです。

この警告をうけて日本政府は、韓国経由で「禁輸品」がイランに流れていると結論づけました。

韓国とイランの取引

2018年12月2日に、韓国とイランは、米国がイラン産原油に対して再発動した禁輸措置の回避を図るために、「物々交換」による取引協定を結びました。
こうしてイランは原油,韓国はイランが国際市場では手に入らない「物質」を提供する協定が結ばれたといわれています。

そして2018年12月20日に、日本の排他的経済水域(EEZ)内において、警戒パトロールをおこなっていた日本の哨戒機が、韓国駆逐艦、警備救難艦、ゴムボート2隻、漁船らしき小型の船を発見し、写真撮影を実施していたところ、突然その駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けました。
この事件での韓国側の言い分に、あまりにも不信な点が多いことから、洋上において船から船へ船荷を積み替える「瀬取り」を、イランか北朝鮮とのあいだでしていたのではないかとの、疑惑が持ち上がりました。

そして、この瀬取りで取引されていた物質は「高純度フッ化水素」だといわれています。
当時、韓国内でも「なぜ日本からの高純度フッ化水素の輸入が急増したのか?」というのが話題にのぼっていますし、韓国政府による説明では,2018年に品質不良のため日本に、約3300トンを返品したと主張していますが、現実には日本に戻っていません。
※一部では、120キログラムのみ返品確認されたとの情報もあります。

そして、2019年の7月に、日本が3品目にたいして、包括的輸出許可から個別輸出許可へ切り替えると発表しました。
すると、2019年の12月12日に、イランは韓国にたいして、「物々交換」停止などで滞っていた、7兆ウォンという金額の原油代金の支払いを、強く要求しはじめました。

さいごに

途中からは、少々陰謀論っぽくなってしまいましたが、真実はどこにあるのでしょうか。

たしかに韓国に輸出した「フッ化水素」の一部は、行方不明になっています。
しかし、日本から輸出されている「高純度フッ化水素」は「液体」ですので、化学兵器やウランのフッ化などへの使用には、加水分解してしまう可能性が高く、少々不向きともいえます。

通常、化学兵器などの毒ガスで使用するのは、水分を含んでいない「無水フッ化水素」ですし、この「無水フッ化水素」は、アメリカはもちろんですが、ロシアや中国やドイツなどでも製造されていますので、日本以外から購入できる余地は十分あります。

つまり日本のメーカーが製造して輸出している「液体フッ化水素」は、とても高品質のため、半導体の製造には欠かせないものであり、化学兵器やウラン抽出には向いていませんが、行方不明になっているのは事実である、ということです。

まさか、イランとは比較的友好国である「日本」に、疑惑の目を擦りつけようとでもしていたのでしょうか?

今回、韓国にたいするホワイト国除外の措置は、兵器転用可能な物品の輸出管理を掲げるオーストラリアグループの方針に沿って、粛々と実施したのにもかかわらず、隣国が得意のイチャモンをつけ、メディアもそれに乗っかったということでしょうか。
それとも、韓国がイランに「禁輸品」を横流ししていたのか?もしも、そうだとしたら「トンデモ国家」ですね。

真相は不明ですが、万一の場合でも、軍事転用されては困りますので、こういう場合は「疑わしきは罰する」の処置も仕方ないでしょう。
そして、もう一度書きますが、しっかり目的を記して申請された「3品目」については、以前と変わらず輸出されていますよ。

といことで、今回の記事は、ここでおしまいです。
読んでくださって、本当にありがとうございました。

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