ムン政権が選挙で勝利

2017年にパク・クネ前大統領が失脚し、反日を全面に押し出して当選したムン・ジェイン大統領は、娘の大学不正入学や妻への巨額投資疑惑、そして検察改革の切り札として法相に抜擢したチョ・グクのスキャンダルによって支持率を落としていましたが・・・

しかし、新型コロナウイルスへの対応が評価されたことで、2020年4月に実施された「第21代総選挙」では、与党である「共に民主党」と比例政党の「共に市民党」が、300議席のうち過半数を超える180議席を獲得しました。
そして、2020年1月下旬からは、ムン・ジェイン大統領も支持率を急上昇させ、2020年5月8日の発表では、71%にまで昇っています。

残りの任期が約2年となった進歩派のムン・ジェインは、大統領就任前には保守派を大批判し、就任後は保守よりの財界人などに対しても、厳しい態度で挑んでいたため、任意が切れたときには、強烈なしっぺ返しが起こることは、韓国の過去の政治や歴代大統領の末路からみても必然であるといえるでしょう。

そして最近は「日韓基本条約」を完全に無視し、超反日のムン・ジェインを支持する与党が圧勝した韓国では、日本を褒めることを禁止する法案「親日賛美禁止法」が成立するのではないかといわれています。

「親日賛美禁止法」の背景と内容

元になっている法案

もともとこの法案は、2018年12月20日、「共に民主党」のパク・グァンオン議員が韓国国会で発議した「日本の植民地支配と日本軍の性奴隷制度の被害者に対する虚偽および情報操作禁止法」というのが発端になっています。
パク議員は自身のフェイスブックで、この法案について「日本軍による慰安婦被害者をはじめ、日本植民地時代の植民統治と侵略戦争行為に対し、歪曲、賛美や鼓舞または宣伝する者に、2年以下の懲役や2千万ウォン以下の罰金を賦課する」という説明をおこないました。

「韓国の反日思想なんて、日本の保守系メディアなどが誇張してるだけだろう」とか、「私は嫌韓派とか差別主義者ではないので」など思っている日本人の方が、サラッと読めば「やっと韓国も歴史歪曲や情報操作をやめるのか」なんて思うかもしれませんが、もちろんそんな内容ではありません。

ムン・ジェインの「積弊清算」

ムン・ジェインをはじめとする「共に民主党」の方たちの反日に関する感覚には、常軌を逸するものがあると言わざるをえないのです。
その一例が、ムンジェインが掲げている「積弊清算」です。

この「積弊清算」とは「積もりに積もった弊害を、きれいに清算する」という意味になるのですが、この「積もりに積もった弊害」が何かといいますと、「保守派政権が残してきた負の遺産」を指しています。
そしてムン・ジェインは「保守派政権が続いた間に、韓国社会は間違った方向に進んだ」ということを繰り返し述べています。

また、日本の敗戦によって日韓併合から解放されたあとも、韓国の政治や経済の分野で重要なポストについた人間が、日本の統治時代にも高い地位にいた者が多かった為、「親日の人たちや、その子孫がいつまでも既得権益層になっているのはおかしい」という考えにいたりました。

こういった考え方から財閥にも厳しいムン・ジェインは、「積弊清算委員会」という特別委員会を与党内に設置し、韓国得意の(法令を施行時以前には遡って適用する)遡及法によって、保守派の政財界人を罰したり、謝罪させたりし、一部では自殺者をだしています。
そして、(弾圧や粛清ともいえるかもしれませんが)つるし上げを恐れた一部の企業では、社内で協議をしてトップの人事を、ムン・ジェインに合いそうな人物に変更していきました。

左派系団体「光復会」

「光復会」とは、抗日独立運動に参加した運動家の遺族たちで構成された左派系の団体で、朝鮮戦争の英雄とされる人物にたいしても親日派と罵っていたり、親日派の名簿などを作成したりしています。
そしてこの団体のトップは、ムン・ジェインと親しい関係にあり、今回の「親日賛美禁止法」は、光復会による思惑が非常に大きいものとなっていますし、2018年に提出された内容よりも、より過激なものになっています。

例えば光復会は、関連法案として「独立運動功労者法」「慰安婦被害者法」「強制動員調査法」などを提案していて、これらは「独立運動家」「慰安婦」「強制徴用工」について、政府の歴史解釈と異なる歴史を語ることを禁止するものになっていますので、韓国国内では「言論の自由」が保障されないということになります。

昨年6月、日本政府の半導体部品の輸出規制について「テレビ朝鮮」と「チャンネルA」は「政府が反日感情を煽っていることが果たして韓日葛藤の解決策になるか」「竹やりを手に持って日本と戦おうというチョ・グクの主張は韓日関係に何の役にも立たない」と報道し、これが「親日美化」的な発言をしたと主張した光復会は、2局にたいして廃局を求める請願運動まで率い始めました。

さらには過去にもさかのぼって、親日と断定された者は、国立墓地への埋葬が禁じられ、すでに埋葬されている場合は撤去を検討したりする「国立墓地法改正案」や、叙勲(勲章)を授かった者を調査しなおして親日だった場合は叙勲を取り消したりする「叙勲法改正案」を推進しています。

「正義記憶連帯(旧挺対協)」ユン・ミヒャン

2020年4月15日に行われた韓国国会の総選挙で当選した正義連の前理事長ユン・ミヒャンも反日政策を掲げ「親日賛美禁止法」を推進している一人です。

ユン・ミヒャンは、慰安婦問題に対する教育と研究活動などに対する政府支援を法制化することを目標にしていて、国際社会の世論形成に向けて、国連や多国間外交の舞台で慰安婦問題を積極的に提起し、国際的な連帯を強化していくという考えがあるそうです。

自身の言葉では、「私が国会でしなければならない一番大きな役割の一つは、日本軍の性奴隷制度と関連した真相究明と謝罪、そしてそれを未来世代へ伝えるための教育など、様々な活動を支援できる法制度を整えることだ。政府が、日本軍の性奴隷関連の博物館を整備する活動や女性の人権と平和を国際社会で発言する活動などを支援することで、女性の人権と平和を実現するための市民社会の努力を国際社会に拡散させることができる」と語っていました。

しかしその後、元慰安婦からの告発によって、(ここでは詳しくは書きませんが)不透明な金の流れが追及されて窮地に立たされています。

さいごに

反日や過去の清算を掲げて当選したムン・ジェインといえども、国内には語気を荒げた発言をしたとしても、国際法や国際秩序を無視するにも限度があるでしょうし、ユン・ミヒャンのスキャンダルによって「親日賛美禁止法」の行方は分からなくなりました。

私個人としては、別にこんな法案が成立しようが、不成立に終わろうが、どちらでもかまわないのですが、こういった法案が提案されるだけで「凄い国だな」と、ただただ関心すると同時に、国内のヘイトスピーチにうるさい日本の大手メディアの報道が薄いことに違和感を感じています。

こうして記事にすることで改めて、凄い「差別国家」だと思い知らされましたし、世界の常識である「法の不遡及」が無視されていることに、普段はデモが大好きな国民が声を上げないのも、吊るし上げや謝罪強要が大好きな国民性のあらわれなのかもしれませんね。

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