白頭山もヤバいけど、富士山もヤバい!

2019年の夏頃には、お隣の朝鮮半島にある白頭山(北朝鮮と中国の国境にある標高2744mの山、中国名:長白山)で、千年ぶりの大規模噴火が発生するかもしれないというニュースがありました。

火山が噴火する理由を簡単に説明しますと・・・

火山の地下には、火山ガスがとけこんだマグマがあり、このマグマが地下の浅いところまでくると、まわりの圧力が下がり、炭酸ジュースのふたをあけたように、マグマの中の火山ガスが泡になります。
泡を含んだマグマは、まわりよりさらに軽くなるので、地上まで上がってきて噴き出します。これが噴火です。

こうした現象は、大概の場合、自然発生的に起こるのですが、一部には(特に大規模噴火の場合は)地震などの影響を受けてマグマだまりに亀裂は入り、そのせいで内部にため込まれていたエネルギーが噴出する(噴火を起こす)ことがあります。

北朝鮮にある白頭山は、北の核実験場がある豊渓里から約130kmの距離にあるため、北の地下核実験が影響しているのではないか?という見方がされていました。
この時に、火山学者がおこなったシミュレーションでは、白頭山の噴火規模は、2010年に欧州の空港を麻痺させたアイスランドの「エイヤフィヤトラヨークトルの噴火」の1000倍と推定され、噴火による火山の噴出物が空を覆い、約3か月で北半球の平均気温が最大で0.5℃下がるとされていました。
そして、もしもこれだけの大噴火が起これば、日本の農作物は甚大な被害にあい、航空機は飛べませんし、精密機器などへの影響も計り知れないものになるため、人的被害や経済損失は深刻なものになります。

こうしたニュースを聞いて、北朝鮮のことを「なんて迷惑な国だ!」と思っていたのですが、2020年の7月になって、日本でも富士山の噴火について書かれている記事が、頻繁に見られるようになってきています。

そうした記事によりますと、富士山は、いつ噴火してもおかしくない状態にあるらしく、日本政府も2020年の3月31日に、(コロナ禍のため、あまり報じられませんでしたが)富士山が噴火した場合の「降灰シミュレーション」を発表していました。

ちなみに、2011年の3月11日に発生した「東日本大震災」の4日後の、3月15日に「静岡県東部地震」という地震が起こり、この震源が富士山のマグマだまりのすぐ上だったため、「これはとんでもないことになる」と、日本の火山学者たちは肝を冷やしたそうです。

富士山噴火の「降灰シミュレーション」

降灰の範囲と量

検討会がおこなったシミュレーションでは、1707年の「宝永噴火」と同規模の大噴火が発生し、15日間続いたことを想定したうえで、富士山周辺から関東にかけての各地で、火山灰がどのように積もっていくかを推測しています。

それによると、静岡県御殿場市付近では1時間に1センチから2センチ程度の灰が降り続き、最終的に1メートル20センチにも達するとしていて、80キロ余り離れた横浜市付近でも、1時間に1ミリから2ミリ程度の灰が断続的に降り、最終的には10センチ程度積もるとしています。
そして、90キロ以上離れた新宿区付近では、噴火直後に灰は降りませんが、13日目以降には、1時間に最大1ミリほど降り、最終的に1.3センチほど積もるとしていますが、前回の「宝永噴火」は、200年ぶりの噴火であり、今回もしも噴火すれば、約300年ぶりとなるため、前回の噴火よりも大規模になるとの予測もあります。

車での移動

電車の場合は、レールが火山灰に覆われると、電気で制御されている運行システムなどに障害が起きるおそれがあり、0.5ミリ積もると運行できなくなるとされていますし、航空機はエンジンが火山灰を吸い込むと止まるおそれがあるため問題外です。

こうなると、公共交通機関はストップしますので、富士山から首都圏にかけての道路は車で溢れることが予測されますが、報告書によりますと、乾燥時10センチ以上、降雨時3センチ以上の降灰で、タイヤに灰が固着して一般的な二輪駆動車は通行不能となるそうです。
そして、火山灰が1ミリ以上積もると車が出せる速度は30キロ程度となり、5センチ以上積もってしまうと、出せる速度は10キロ程度にまで落ちてしまいます。

大規模停電

東京湾一帯にある火力発電所は、6センチ以上の降灰で停止する可能性が指摘されていますし、発電装置に不可欠な吸気フィルターに灰が付着した場合は、その発電所から延びる送電線への影響も危惧されており、もし送電網までダウンすれば、他地域から電力融通が受けられなくなり「首都圏大停電」が起こる可能性もあります。

こうなりますと、マンションの場合は停電で水道が使えなくなる可能性が高いのですが、水道施設にまで被害が及んだ場合は(2ミリ以上積もると)、戸建て住宅でも上下水道がストップするかもしれません。

火山灰とはガラス片?

火山灰というのは、「灰」と書くのですが、タバコの灰のような燃えカスではなく、実際はマグマが細かく引きちぎられてできた、ガラス片のようなものですので、人体やインフラに甚大な被害をもたらします。

そして、この「火山灰」が住宅などの建物に降り積もり、そこに雨が降った場合は、水分を吸収して重量を増した火山灰によって倒壊する木造建築が多数でるとの予測もあります(噴火後は上昇気流が発生するため、雨が降りやすいそうです)。

富士山は、必ず噴火する

少し前までは、「休火山」とか「死火山」という言葉もあり、富士山は休火山というふうに学校で習った方も多いでしょうが、現在はこうした便宜的な分類として用いられていた言葉は使用されていません。
2003年に新しい定義がされ、富士山は「活火山」となっています。

先ほど、2011年3月15日に発生した「静岡県東部地震」の際に、火山学者たちが肝を冷やしたとしましたが、それは震源が富士山のマグマだまりのすぐ上だったため、マグマだまりの直上に「ひび割れ」が起こった可能性があるからで、まだ噴火はしていませんが、噴火スタンバイの状態にあることは間違いないそうです。

「マグマ」というのは、主に高い圧力がかかって地下で固体として存在している「マントル」が溶融したもので、約5%の水を含んでいます。
マグマだまりにひびが入ると、圧力が下がるため、この水が水蒸気となり、その体積が1000倍に膨らみますので、噴火の可能性が上がるということです。

ただし、富士山の噴火に関しては、約1か月前に前兆となる「低周波地震」が起こり、それに続いて「有感地震(人間が揺れを感じることができる地震)」、「火山性微動(火山の周辺だけで観測される、始まりと終わりがはっきりしない地動波形の総称)」が起こりますので、予知は可能としています。

しかし、一部の火山学者のあいだでは、富士山の噴火は「南海トラフ巨大地震」が引き金になって起こるとも言われており、こうなると九州から首都圏までが、地震で混乱している中で起こることになりますので、そこで次は富士山が噴火と言われても、いったいどうやって避難するのかということになりかねません。
※約300年前、富士山の噴火で「宝永大噴火」と呼ばれているものは、当時の南海トラフで発生した地震である「宝永地震」の発生から、49日後に起こっています。

とりあえずは「富士山の噴火」と「南海トラフ巨大地震」は、いつ発生するのかはわかりませんが、必ず起こるということですので、せめて「首都機能」ぐらいは、非常時に備えて分散しておいた方がいいのではないでしょうか?

そうしておかないと、また「未曾有」とか「想定外」という言葉で片付けられてしまいますよ。

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