安倍総理の土下座像?

最近の日韓関係は、「日韓請求権協定」によって解決済みだったはずの「徴用工問題」がでてきたり、最終的かつ不可逆的な解決が確認されたはずの「慰安婦問題日韓合意」を、一方的に破棄されたりしたりして、こじれにこじれている状況となっています。

さらに最近では、2018年に冬季オリンピックが開催された都市としても有名な、韓国北東部の江原道平昌にある「韓国自生植物園」に、旧日本軍の従軍慰安婦問題を象徴する少女像と、その前でひざまずいて謝罪する安倍総理をモチーフにした像を設置され話題となっています。

この行為にたいしては、韓国国内でも賛否が分かれているようですが、日本側からすれば「完全な侮辱行為」にあたりますので、菅官房長官も「そのようなことは国際儀礼上許されない」と述べ、「日韓関係に決定的な影響を与えることになる」としています。

「日韓請求権協定」での賠償

先ほども記しましたが、日本としては、1965年の「日韓請求権協定」において、「徴用工問題」は解決済みです。
これは、当時の交渉において、日本が韓国に「個人への賠償はどうする?」と聞いたところ、韓国側から「こちらでおこなうので、一括して韓国政府にわたしてくれ」という返答があり、日本政府はその約束に則って韓国側に、無償で3億ドル、有償で2億ドル、民間借款で3億ドル、合計して8億ドル(韓国の国家予算の2.3倍)を支払いました。
1965年というのは、大卒の初任給が2万円ちょっとの時代で、当時の8億ドルを現在の貨幣価値に換算しますと1兆円以上になりますし、日本は、これ以外にも韓国に対して53億ドル分の戦前資産を無償で譲渡しています。

しかし、韓国最高裁は、今になって「個人への賠償の必要性」を認識していたのなら、「個人賠償をきっちりしなさい」という、よく理解できない判決を下しました。
ちなみに「慰安婦問題」については、(当時の世界では常識であるとともに、恥部でもあったため)議題にすら上がっていません。

日本企業資産の現金化

「徴用工判決」により、日本企業資産の現金化がおこなわれ、日本企業に損害が生じた場合は、日本側も何らかの措置(経済・金融制裁をはじめ、韓国人の入国ビザ発給の制限)をとるとしていますが、本当に韓国が日本企業資産の現金化を実施すると、さすがにもう「日韓関係」は修復不可能な状態となるでしょう。

もちろん韓国国内でも、こうした韓国政府や韓国世論の動きにたいして、「韓国政府は、日韓請求権協定で金を日本側から代表して受け取っているのだから、そこから徴用工に払えば済む話だろ」というような、常識的とも思える意見もでていますが、これはあくまでも一部の少数派であり、親日的ととられる発言を韓国国内でおこなうのは本当に危険です。

こうしたこと(解決済みと思われていた問題の再燃)が起こるのは、もちろん「反日教育」によるところが大きいのですが、韓国には他の法治国家ではありえない「遡及法」というものが存在していることも大きな要因の一つになっています。

「法の不遡及」と独自の「正義」

「法令は施行と同時にその効力を発揮するが、原則として将来に向かって適用され法令施行後の出来事に限り効力が及ぶものであり、過去の出来事には適用されない」これを「法令不遡及の原則」というのですが、韓国では「自己都合の正義」に基づいて、現在の法を過去に遡って適用してしまいます。
だから「日韓請求権協定」の時には問題視されなかった「慰安婦問題」も、現在の、人権にたいする考え方(人種差別や男尊女卑の撤廃)を当てはめて、日本に謝罪を要求きますし、それが「正義(正しい行為)」だと信じています。

しかし、「正義」なんていう言葉は、まやかしであり、そもそも「絶対的な正義」なんていうものは、なかなか存在しません。

アメリカをはじめとする西側諸国からは、イスラム過激派がおこなう「テロ行為」を「悪」としていますが、イスラム過激派から見れば、自国の領土や資源にたいして好き放題やってきた、アメリカなどの西側諸国が「悪」となりますし、我々が「テロ」と呼んでいる行為を、向こうでは「聖戦(ジハード)」と呼んでいます。

太平洋戦争も、日本の一部右派の主張では、「西欧の帝国主義による植民地政策がアジアを襲い、いずれ日本にも来ることが予想されていたため、アジア人の独立や防波堤を築くためにも仕方なかった」とか「アメリカが日本を開戦に追い込んだ」という意見もありますが、こんなこと授業で習いません。
私たちが教えられるのは基本的には「自虐史観」であり、「(一部からはホロコーストよりも酷いとされている)原爆投下」ですら、致し方なかったとされていますので、正義という言葉は「絶対的」なものではなく、あくまでも「相対的」な意味しかもたないということは、ご理解いただけると思います。
ひょっとしたら、映画などでよくある宇宙人による地球の侵略も、地球人からすれば侵略してくる宇宙人は「悪」ですが、(自惑星の生命体のために領土や資源を欲している)宇宙人からすれば、その行為は「正義の名のもと」におこなわれているのかもしれません。

つまり、韓国からすれば「元慰安婦」や「元徴用工」が、完全に納得できるだけの謝罪や、(払わなかったのは、当時の韓国政府ですが)賠償をおこなわない日本政府は「悪」となり、日本からすれば、解決済みの過去を持ち出してきてクレームをつけてくる韓国が「悪」ということになります。

現在の世界は、多くの戦争を経験してきていますし、隣国とのあいだで、戦争や紛争を起こしたことがない国なんて、ほとんどありません。
そのため、政府間では協定を結んだり合意したりしても、一部の市民や団体が納得しないで抗議活動をすることは、規模の大小はありますが、一般的によくあることです。

ただし、韓国がやっかいなのは、先ほども記しましたが「遡及法」の考え方が、他の国からみて異常なことだと思わずに、国民に浸透していることと、「国民請願制度」という、世論が直接政府に働きかけれる制度があるためです。
「国民請願制度」というのは、30日間に20万人以上の署名(オンラインでOK)が集まれば、政府としての公式見解を述べるというものですが、この制度のせいで選挙結果や国際合意に関わらず、(20万人以上の署名に影響をうけるため)政府が一貫した政策を取りにくくなっています。

ここまでくると「コリア・リスク」というカントリーリスクをもっと重大に受け止めて、隣国との付き合い方を考え直したほうが良いと思うのですが、親韓派の議員や韓国経済とつながっている財界のかたたちの影響もあり、それもなかなかそれも難しい状況となっています。

隣国とどう付き合う?

一方では、以前の「2020年防衛白書」でも触れましたが、日本の潜在的敵国は、あくまでも「中国」と「北朝鮮」であり、日韓関係の悪化は、この両国を喜ばせることになり、しいてはアメリカの悩みの種にもなっています。

しかし、韓国側には韓国の言い分(日本からすれば異常とも思える主張)があるように、日本側には日本の主張があり、こうした相容れない主張の平行線は、日本側からすれば、韓国の教育方針や法制度の変更がない限り改善されていくのは難しいと思われますので、外交方針の転換が望ましいように思われます。

「そんな無茶はしないだろう」とか「いつかはわかってくれる」といった、「お人よし外交」の結果がこれであり、韓国に限らず、中国への外交姿勢の見直しも必要となるでしょう。

世界に目を向ければ、「近親憎悪」という言葉があるように、お隣同士のほうが一般的には仲が悪い傾向にあると言いますか、お隣同士の国は仲が悪いのが基本です。
欧州では、そういったことを改善し、世界の力学において、重要なポジションに居続けることが、大きな要因の一つとなって「欧州連合(EU)」が結成されています。

日本を含む東アジアの地域が、EUのようにまとまる姿は想像しにくく、受け入れがたいものがありますし、そんなことが現実に起こるとすれば、東アジア一帯が中国によって支配された場合になるでしょう。

中韓との関係

私たち日本人のほとんどが、その日の食事に困らず、水道をひねれば水が飲め、アスファルト舗装された道を車で走り、スマホなどのデバイスで日々の情報を手に入れれるのは、日本が経済的に豊かな国であるためです。
現代の国力とは、基本的に経済力に準じているものであり、グローバル経済においては、鎖国みたいなことでは成り立ちませんので、他国との取引が重要になってきます。
たまに、テレビでコメンテーターさんが、「日本は内需(国内での経済活動)を伸ばせばやっていける」と言ったりしていますが、石油や小麦をはじめ、多くのモノを輸入している日本にとっては、そっち方面で現在の経済規模を支えるのは難しいでしょう。
そして、日本の「2019年輸出入総額」では、1位が中国、2位がアメリカ、3位が韓国となっています。

こうした事情からも、中国や韓国にたいして(とくに中国にたいして)強硬にでるのは難しいのでしょうが、そうした経済依存はお互い様ですので、あまり弱い態度ばかりをみせると、(バランスが崩れるため)お互いにとって良くない状況を招きかねません。

それに、カントリーリスクとしての「チャイナ・リスク」や「コリア・リスク」の存在は、大きな障害となる可能性を常に秘めています。
もちろん、日本政府も経済界もそんなことは百も承知でしょうし、簡単に言われても困るのでしょうが、経済依存度の分散は、必ずやっていただきたいです。
なぜなら、日本が経済的に弱体化して、生活しにくくなるも嫌ですが、中韓に好き勝手言われたり、されたりしているのも癪に障る(イラッとくる)からです。

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