北朝鮮のミサイル実験と、アメリカと中国の実験

2020年4月14日に、北朝鮮が日本海に向けて、短距離の巡航ミサイルを、数発、発射しました。

4月15日は、故金日成主席の誕生日であることから、北朝鮮にとって「最大の祝日」とされています。
アメリカ軍のミリー統合参謀本部議長は会見で「北朝鮮国内で行われている何らかの祝賀行事と関連している可能性がある。アメリカにとって特に挑発や脅威だとは考えていない」と述べました。

2020年の3月には、日本を含めて世界中が、コロナウイルス対策で混乱しているさなかに、北朝鮮は4回も日本海に向けて、短距離の巡航ミサイルを発射しています。

しかし、ミサイル実験や核実験をおこなっている国は、北朝鮮だけではありません。

2018年にアメリカは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の発射実験が、技術的なトラブルによって失敗しています。
2020年2月5日には、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地で、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行ったと発表しました。
アメリカ空軍は声明で「発射実験は、安全かつ効果的な核抑止力を維持するための、貴重なデータを提供し、ICBMの正確性と信頼性確認に寄与する」と述べています。

また、中国では、新疆ウイグル自治区ロプノールの核実験場で、去年、掘削作業などの活発な動きが確認されています。
そして、オーストリアのウィーンに本部のある、国際的な核実験の監視網CTBTOは、監視データの送信が、中国で頻繁に遮断されるなどして、透明性を欠いているとし「中国が爆発を伴う核実験の一時停止を続けるか懸念がある」と指摘し、中国による核実験の可能性に懸念を示しました。

アメリカ政府がまとめた報告書では「ウォール・ストリート・ジャーナル」などは、中国がひそかに小規模な核実験を実施している疑いがあると報じていますし、ロシアが去年、核爆発を伴う実験を実施したとの指摘もしています。

しかし、アメリカも2019年の2月に、核爆発を伴わない臨界前核実験を実施し、低出力核と呼ばれる威力を抑えた核弾頭の配備を進めています。

実験はやめられない?

コンピューター上のシュミレーションが、重要なのはもちろんですが、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核兵器を実戦配備するためには、実物を製造し、発射装置や燃料の動作確認や、射程距離を犠牲にしないで済むような弾頭の小型軽量化と、大気圏再突入を成功させる技術の獲得が必要になります。
専門家によれば、こうした問題をクリアするためには、最低でも6回の核実験と、それ以上の長距離ミサイルの発射実験が必要になるとのことです。

高性能な自動車を製造するときなどは、ドイツのニュルブルクリンクなどで、何度も走行テストを重ねますし、F1にもなると、データ集めもハンパない量になります。
自動車やF1でも、何度も実験を重ねるのですから、取り扱いを間違えたり、発射直後に爆発したり、相手に思っていたほどの致命傷を与えられなかったり、などの失敗が起こると、自国が滅びかねない核兵器ともなると、実験がとにかく必要になることがわかります。

なぜ、日本に向けて発射するのか?

北朝鮮の、北側には中国やロシア、西側には中国、南側には韓国、東側には日本が、地理的に位置しています。

北朝鮮がミサイルを、実験といえども、中国やロシアに向けて発射などしたら、撃ち落されるでしょうし、へたしたらやられてしまいます。
数年前に、韓国の島を砲撃したことはありましたが、さすがに弾道ミサイルを在韓米軍基地のある、南側の韓国に向けて発射すると、米軍の迎撃ミサイルで撃ち落されるでしょうし、国が滅ぶほどの国際問題に発展しかねません。
こうなると、消去法で、東側の日本海に向けて発射するしかないのです。

もちろん、私も日本人ですので「北朝鮮が日本海に向けて、飛翔体を発射」のニュースを聞くと、気分が悪いです。
ましてや、日本列島の上空を通過などと聞くと「撃ち落してしまえ!」とか「もう、やってしまえ!」なども思います。

しかし、日本は「シーシェパード」にですらも、なめられていて、放水や逮捕で対抗するのが限界です。
彼らからすると、日本のクジラ漁が問題なのかもしれませんが、私からすれば、中国が、フカヒレ欲しさにサメを殺しまくってる方が問題だと思いますが、彼らシーシェパードが、フカヒレ漁をしている、中国籍の船に攻撃するでしょうか?
そんなことしたら、中国船は反撃してくるでしょうし、人民解放軍が動員されるかもしれませんので、絶対にしません。

このように、北朝鮮が、日本海に向けてミサイルを発射するのも、シーシェパードが日本の船に攻撃するのも、共通点があります。
ようするに、日本は「遺憾」というだけで、やり返してこないからです。

政治的な理由

北朝鮮からすると、アメリカは北朝鮮を敵視しているし、世界の軍事大国アメリカと、正式な国交も結んでいない、そして戦争も正式に終わってない・・・ということで、(現体制の)北朝鮮を守るためには、軍事力は必須という結論になります。

そして、ミサイルはただ単に飛ばすだけでは、それほどの脅威にはなりませんので、核がどうしても必要だと考えています。
北朝鮮は、ミサイルに核弾頭をつけてする、核攻撃能力を獲得することが、自分たちの体制を守れる切り札だと信じています。

北朝鮮は、ミサイルの射程距離を伸ばしていき、2年前には「アメリカ本土に届くミサイルを開発した」と発表しました。
ついに「いざとなれば、アメリカも狙えますよ」というカードを手に入れたのです。

とりあえず、そこからアメリカは、一時的には艦隊を派遣して、強硬な姿勢をとりましたが、核を保有し、駄々をこねる北朝鮮にたいして、トランプ大統領は「交渉」に方針転換しました。

こうして「アメリカを攻撃できる核兵器」を手に入れたことによって、武力による制圧を免れた北朝鮮ですが、さすがに「経済制裁の緩和」には、いたっていません。
アメリカは、国交回復や経済制裁の取りやめには「核の放棄」を条件にしていますし、当然ですが、査察官による調査の要求もしています。

過去には、査察官の調査受け入れ拒否をし、大量破壊兵器を保有していなかった、イラクのフセイン政権は、アメリカによって瞬殺されてしまいました。
リビアのカダフィ政権は、核開発を放棄したことで、経済制裁は緩和されましたが、数年後には、(CIAが動いていたともいわれている)クーデターによって失脚しました。

こうした、歴史的背景をもとに、北朝鮮の「金一派」とアメリカは、どのような判断をくだすのでしょうか?

それでは、今回の記事はここでおしまいです。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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