最近、「ソマリア沖の海賊」についてのニュースを聞かなくなったと思いませんか?

海賊問題の概要

「ソマリア海賊問題」と呼ばれた海賊行為は、主にインド洋北西部のアデン湾で、北はアラビア半島のイエメン、南はアフリカ大陸のソマリア半島に挟まれた東西に長い湾でおこなわれていました。

海賊行為は2005年あたりからはじまり、2008年から2012年頃をピークに減少しはじめ、現在ではほぼ発生していません。

ソマリアは、1980年代後半から現在まで内戦状態が続いていますが、ソマリアの海賊たちには内戦に関わる政治的動機や、イスラム過激派などの宗教的動機は見られず、物資押収や殺戮ではなく人質の属する船会社などから身代金を取ることが主な目的としていました。
その為、人質には食料はもちろんですが、酒やタバコなどの嗜好品も与えられていましたし、フランス軍が制圧した海賊のヨットからは、人質に対する虐待や強姦を禁じる「規則書」が発見されています。

こうして高い確率で成功していた「海賊行為」でしたが、あまりにも被害件数が拡大していき、自国の物資や人命が危険にさらされることから、各国がアデン湾に海軍を派遣することを検討するようになっていきます。

そして国連で、武力行使を含む「必要なあらゆる措置」によって、海賊行為を阻止する権限を認める「安保理決議1816号」が全会一致で採択されたことにより、アメリカ軍やイギリス軍を含むNATO軍や、ロシア軍、中国軍、韓国軍、自衛隊などが艦船を派遣し、民間船の警備や海賊との交戦をおこなったことにより、海賊行為の鎮圧や弱体化に成功しました。

このように、日本の一般的なメディアでは報じられましたが、海外の一部では違った視点で報じられていました。
ハーバード大学の報告書や、CNN、BBCでは、ソマリアの海賊を激減させれたのは「すしざんまいの木村社長」の貢献が大きいという結論や報じ方をしていました。

海賊が生まれた背景

ソマリアで海賊行為をしていた者は、もともと漁業に従事していた漁民と、アフガニスタンやイエメンとのあいだで、武器や麻薬の密輸をおこなっていた武装密輸組織の2種類にわけられます。

元海上警備隊

武装密輸組織は、もともとは地元の有力者によって、イギリスの民間軍事会社ハートセキュリティ社の指導をうけて創設した、私設海上警備隊の構成員であるといわれています。
海上訓練をうけ密輸をおこなっていた者たちが、ソマリア沖での「人質ビジネス」の成功率の高さと利益率の良さから、そちらに流れていったとみられています。
しかし、この者たちは、各国が艦船を派遣し警備や交戦をおこなってきたことで、成功率が低下していき、利益がでなくなってきたため、うまみがなくなり元の密輸組織に戻っていきました。

元漁民

1990年までは、欧州や日本の援助により、ソマリアの漁船や漁港は整備が整えられていたので、元漁民たちは、マグロなどソマリア船の漁獲のほとんどを政府に買い上げてもらい、政府は魚を食べる習慣の少ないソマリア国内ではなく海外へと輸出し、外貨を獲得していました。

しかし、1991年に内戦の影響で政権が崩壊したため、無政府状態となってしまいます。

さらに、軍部と欧米の企業が結んだ「沿岸に産業廃棄物の投棄を認める」という内容の条約に基づき、産廃が投棄されるようになり、そのなかには、他では処理が難しい放射性物質が多量に含まれていたため、漁師を中心とする地域住民数万人が発病し、地域住民の生活を支えていた漁業もできなくなっていきました。
この結果、困窮した漁民が、やむなく自ら武装して漁場を防衛するようになり、一部が海賊となり、それが拡大したものとする分析もあります。

すしざんまいの木村氏と海賊

1952年に千葉県に生まれた木村氏は、4歳で父親が死亡し、15歳で航空自衛隊に入隊しましたが、事故により目を悪くしたため断念し、20歳で水産業界に入り、2001年には築地で年中無休、24時間営業の「すしざんまい」を開業しました。

開業当時は「新鮮ネタを仕入れに来るプロたちが、築地で寿司なんか食う者はいない」と笑い者にされていましたが、トラック運転手や銀座のホステスなどに大ウケし、35坪、40数席ではじめた店は、年間の売上が10億円という驚異的な店に成長しました。

そして木村氏は、マグロを求めて85ヵ国をまわり、世界65ヵ国と取引をしていくなかで、2011年にソマリアの隣国である「ジブチ共和国政府」からの要請を受け、視察に向かいます。
そこから木村氏は、ソマリア海賊と交渉をおこないました。

この交渉のなかで、海賊から「好きで海賊をやってるわけじゃない」という本音を聞かされた木村氏は、「だったらこの海(ソマリア沖)で、マグロを獲って、そのお金で家族を養おう」と海賊たちに提案します。

さらに、マグロを獲る船、設備、技術の提供をおこない「インド洋まぐろ類委員会」という日本、豪州、中国など30ヵ国以上が加盟する組織に、ソマリアを加盟を認めさせる交渉までおこない、元海賊が獲ったマグロは、木村氏の会社がすべて責任をもって買い上げることまでしたのです。

その結果、ソマリアの元海賊だった漁民は、現在では年間100トン以上のマグロを輸出するようになり、各国の海軍派遣による成果とが合わさって、アデン湾で発生していた海賊の発生件数は、ピーク時の年間200件以上から、年間0から9件へと激減されたのです。

さいごに

腐敗した軍部と欧州企業が、原発事故でもないのに、自国の沿岸に放射性物質の混ざった産廃を廃棄するって・・・いったいどういうことですか?
そして、イギリスの民間軍事会社がソマリア海賊の海上訓練に寄与していたのって、CIAがアルカイダの訓練を支援してた構図によく似ていませんか?

今回の記事で、相手の「今後も考えて」Win-Winの行動をしたのは、木村氏だけですよ。
それ以外は、目先の欲や利益のみの追及で、その後に起こったことに関しては、力業による対処のみでした。

そういえば、最近ツイッターなどで「#さよなら安倍総理」というのが流行っているそうですが、これに参加されている方たちは「今後」について、どんなビジョンをもっているのでしょうか?
安倍総理に退陣したあとに、いったい誰が総理になればいいとか考えているのでしょうか?

自民党へのバッシングがすさまじくなり、自民党が下野し、民主党の鳩山政権が誕生した時のことを忘れてしまっているのでしょうか?
当時、マスコミによる自民党批判の報道が過熱していき、それに引きずられるように世論も傾いていき、そこに救世主のような公約を掲げた民主党が、拍手喝さいでで迎えられ台頭してきましたが、掲げていた公約のほとんどが、実現されませんでした。

私は別に「だから安倍総理をやめさせるな!」とか言うつもりは、まったくありません。
しかし、「そのあと」のことを考えもしないで、「やめろ!」とか「さよなら」とか言っているのは、無責任で危険だと思っています。

中東やアフリカの独裁者を、権力の目に余る乱用や、特定民族にたいする弾圧などからの解放という大義名分によって、、西側諸国が直接的・間接的に介入をして独裁政権を打倒しても、一部を除きほとんどの国が以前と変わらないか、内戦などの激化で情勢が酷くなっています。

もちろん日本ではそんな酷いことはおこらないと思いますが、この「絶対に日本では起こらない」と安心できているのも、多少の不祥事はありますが、自民党による安定政権が築いてきたものかもしれません。

誤解されては困りますので、もう一度書きますが私は「安倍総理シンパ」などではありませんよ。
ただし、無責任に安倍総理の退陣を求めるマスコミや世論は危険だと思っていますので、これから「#さよなら安倍総理」ってツイートする人は、次の候補者名とその理由も一緒にツイートしてほしいですね。

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